COGNITIVE SCREENING — DUAL SCORING
HDS-R + MMSE (日本版) ハイブリッド
臨床ではHDS-RとMMSE (日本版) を同時に施行することが多いため、共通項目を1回の入力で両方の合計に反映できるハイブリッド版です。各項目に尋ね方を併記し、最終スコアは独立した30点満点で表示されます。
HDS-R
0/ 30 点
高度認知症
0 / 16 入力
MMSE
0/ 30 点
重度認知症
0 / 25 入力
項目バッジ:HDS-RHDS-RのみMMSEMMSEのみ両方両検査に加点
見当識 — 時間
尋ね方: 「今日は何年何月何日何曜日ですか?今の季節は?」 — 患者が正答した要素にチェック。
年
両方尋ね方: 「今年は何年ですか?」 — 西暦・和暦どちらも可。
季節
MMSE尋ね方: 「今の季節は?」 — MMSEのみ採点。HDS-Rには季節の問いはない。
月
両方尋ね方: 「今月は何月ですか?」
日
両方尋ね方: 「今日は何日ですか?」
曜日
両方尋ね方: 「今日は何曜日ですか?」
年齢
年齢 (満年齢)
HDS-R尋ね方: 「お歳はおいくつですか?」 — 2年までの誤差は正解。HDS-Rのみの項目。
見当識 — 場所
HDS-Rの「ここはどこ?」と、MMSE (日本版) の5要素 (地方/都道府県/市町村/建物名/階) を一連の会話で確認します。
場所 (HDS-R式)
HDS-R尋ね方: 「ここはどこですか?」 — 自発で正解=2、5秒待って「家ですか?病院?施設?」と選択肢ヒントで正解=1、不正解=0。HDS-Rのみ。
何地方 (関東・関西 など)
MMSE尋ね方: 「ここは何地方ですか?」 — 日本版MMSEで原版の「国」を置換した項目。
都道府県
MMSE尋ね方: 「ここは何県(府/都/道)ですか?」
市町村
MMSE尋ね方: 「ここは何市町村ですか?」
建物名 (病院・施設名)
MMSE尋ね方: 「この建物の名前は?」 — HDS-R「ここはどこ?」で建物名を答えていればそのまま正解扱い。
階
MMSE尋ね方: 「ここは何階ですか?」
即時再生 (記銘)
尋ね方: 「これから言う3つの言葉を覚えてください。あとでまた聞きますので — 桜・猫・電車」(または「梅・犬・自動車」)。直後に復唱させ正答数を採点。両検査で同じ提示。
3単語の即時再生
両方最初の試行のみで採点 (順不同可)。両検査に同じ点数で加点。
注意と計算
尋ね方: 「100から7を引くといくつですか?」→「そこからまた7を引くと?」を繰り返す。MMSEは5段まで、HDS-Rは2段までを採点。
100 − 7 = 93
両方尋ね方: 「100から7を引くといくつですか?」 — 両検査の1段目。
93 − 7 = 86
両方尋ね方: 「そこから7を引くと?」 — HDS-Rはここまで採点。
86 − 7 = 79
MMSE尋ね方: 「さらに7を引くと?」 — MMSE 3段目。HDS-Rは採点しない。
79 − 7 = 72
MMSE尋ね方: 「もう一度7を引くと?」 — MMSE 4段目。
72 − 7 = 65
MMSE尋ね方: 「最後にもう一度7を引くと?」 — MMSE 5段目。日本版MMSEはシリアル7のみを用い、WORLD逆唱は採用しない。
数字の逆唱 — 3桁
HDS-R尋ね方: 「これから言う数字を逆から言ってください — 6-8-2」 → 「2-8-6」で正解。HDS-Rのみ。
数字の逆唱 — 4桁
HDS-R尋ね方: 「3-5-2-9を逆から言ってください」 → 「9-2-5-3」で正解。3桁が誤答なら4桁は省略可。HDS-Rのみ。
遅延再生 (3単語の想起)
尋ね方: 「先ほど覚えてもらった3つの言葉をもう一度言ってください」。自発で言えない単語は、HDS-Rではカテゴリヒント (「植物・動物・乗り物の名前でした」) を出して再度問う。
単語1
両方自発=HDS-R+2/MMSE+1、ヒント=HDS-R+1/MMSE+0、不正解=0/0
単語2
両方単語3
両方HDS-R 追加課題
5つの物品記銘
HDS-R尋ね方: 5物品 (時計・鍵・タバコ・ペン・硬貨 など) を1つずつ見せて名前を確認し、すべて隠してから「今お見せした物は何でしたか?」と尋ねる。想起できた個数を採点 (順不同)。HDS-Rのみ。
語想起 (野菜の名前)
HDS-R尋ね方: 「知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください」 — 60秒間、重複・非野菜は除外。5個以下=0、6個=1、7個=2、8個=3、9個=4、10個以上=5点。HDS-Rのみ。
MMSE 言語・行為
呼称 (時計・鉛筆)
MMSE尋ね方: 腕時計を見せて「これは何ですか?」(時計=1点)、鉛筆を見せて「これは何ですか?」(鉛筆=1点)。MMSEのみ。
復唱
MMSE尋ね方: 「私の後について繰り返してください — みんなで力を合わせて綱を引きます」 1回のみ、一語一句正確で1点。MMSEのみ。
3段階命令
MMSE尋ね方: 紙を渡しながら「この紙を右手で取り、半分に折り、床に置いてください」と一度に指示 (途中で指示を繰り返さない)。各動作1点。MMSEのみ。
読字命令
MMSE尋ね方: 「目を閉じてください」と書いた紙を見せ「これを読んで書いてある通りにしてください」。実際に目を閉じれば1点 (声に出して読むだけでは不可)。MMSEのみ。
書字
MMSE尋ね方: 「何でもよいので、一つ文章を書いてください」。主語と動詞を含む意味の通る一文で1点 (字の上手さ・文法的細部は不問)。MMSEのみ。
図形模写
MMSE尋ね方: 五角形2つの重なり図を見せ「これと同じ図を書いてください」。各五角形が5角を保ち、重なり部が四角形を成せば1点。MMSEのみ。
HDS-R (改訂長谷川式) の重症度の目安
21–30 点正常範囲
16–20 点軽度認知症の疑い
11–15 点中等度認知症
0–10 点高度認知症
MMSE (日本版) の重症度の目安
28–30 点正常範囲
24–27 点軽度認知障害(MCI)の疑い
20–23 点軽度認知症
10–19 点中等度認知症
0–9 点重度認知症
補足
- カットオフ: HDS-R 20/21点、MMSE 23/24点 が広く使われる。
- 即時再生 (記銘) は両検査で同じ3単語を用いるため、1回の提示で両方に加点。最初の試行のみで採点する点も両者で共通。
- 遅延再生はHDS-Rが「自発2/ヒント1/不正解0」、MMSEが「自発1/それ以外0」と配点が異なる。本ツールは1回の入力から両方を自動算出。
- 計算課題はHDS-Rが2段(100-7, 93-7)、MMSEが5段。重複する2段は両スケールに同時加点される。日本版MMSEはシリアル7のみで、WORLD逆唱は採用しない。
- 場所の見当識はHDS-R(0-2点・ヒント方式)とMMSE(地方/都道府県/市町村/建物名/階の5要素)で問い方が異なるため別項目として記録。MMSEの「地方」項目は日本版での原版「国」の置換に基づく。
- MMSEは教育年数・年齢の影響を受けるため、カットオフ値を解釈時に補正することがある。
参考文献
- 1.加藤伸司ほか. 改訂長谷川式簡易知能評価スケール (HDS-R) の作成. 老年精神医学雑誌. 1991;2(11):1339-1347.
- 2.Folstein MF, et al. "Mini-mental state". A practical method for grading the cognitive state of patients for the clinician. J Psychiatr Res. 1975;12(3):189-198.
- 3.森悦朗ほか. 神経疾患患者における日本語版Mini-Mental State Examinationの有用性. 神経心理学. 1985;1:82-90.
- 4.杉下守弘. 精神状態短時間検査—改訂日本版 (MMSE-J). 日本文化科学社, 2010.