頭痛
特発性頭蓋内圧亢進症(IIH/偽性脳腫瘍)✓ 監修済み
発症様式: 亜急性〜慢性。肥満・体重増加を背景に頭痛で発症することが多い。数日〜数週で急速に視力が低下する劇症型(fulminant)もある。
概要
明らかな占拠性病変・水頭症・静脈洞血栓症などがないのに頭蓋内圧が上昇する病態。妊娠可能年齢の肥満女性に多く、頭痛・拍動性耳鳴・一過性視力障害・複視(外転神経麻痺)を呈し、眼底で乳頭浮腫を認める。最大のリスクは不可逆的な視力障害で、視機能の保護が治療の最優先。診断は腰椎穿刺での髄液圧上昇(成人で 250 mmH2O 超)+正常な髄液所見+器質病変・静脈洞血栓症の除外+乳頭浮腫(Friedman 改訂基準)による。治療は減量とアセタゾラミド、進行する視力障害(劇症型)には外科的減圧を急ぐ。テトラサイクリン・ビタミン A 等の薬剤性、静脈洞血栓症などの二次性を除外する。
代表症候
妊娠可能年齢の肥満女性に多い頭痛・拍動性耳鳴・一過性視力障害・複視(外転神経麻痺)眼底で乳頭浮腫。最大のリスクは不可逆的な視力障害髄液圧上昇(成人 250 mmH2O 超)+正常髄液+器質病変/静脈洞血栓症なし治療は減量+アセタゾラミド、劇症型は外科的減圧
Clinical Pearls
- 💡肥満の若い女性の頭痛+乳頭浮腫を見たら IIH を疑う
- 💡最優先は視力(視機能)の保護 — 乳頭浮腫・視野を必ず評価しフォロー
- 💡診断前に MRV で脳静脈洞血栓症を除外する
- 💡テトラサイクリン・ビタミン A など被疑薬を確認する
- 💡急速な視力低下(劇症型)は外科的減圧を急ぐ
症候学
頭蓋内圧亢進性の頭痛
早朝・起床時に強く、体位や Valsalva で増悪することがある。性状は非特異的
臨床的意義: 頭痛単独では非特異的。乳頭浮腫・視覚症状と併せて評価する
視覚症状(最重要)
一過性視力障害(数秒の霧視)、視野狭窄(Mariotte 盲点拡大・下鼻側欠損)、進行すると不可逆的な視力低下。眼底で乳頭浮腫
臨床的意義: 視機能が予後を規定する。乳頭浮腫・視野を必ず評価する
拍動性耳鳴・複視
拍動性(血管性)耳鳴、外転神経麻痺による複視(偽性局在徴候)
臨床的意義: 外転神経麻痺は頭蓋内圧亢進による偽性局在徴候で、病巣を意味しない
ピットフォール
- ⚠視機能を追わず失明させる — 頭痛が軽くても乳頭浮腫・視野・視力・OCT を定期評価し、進行例は外科的減圧を急ぐ
- ⚠脳静脈洞血栓症を除外しない — IIH に酷似する。MRV で必ず除外する
- ⚠薬剤性(テトラサイクリン・ビタミン A)を見逃す — 被疑薬を確認・中止する
- ⚠劇症型を見逃す — 急速な視力低下は緊急。内科治療を待たず外科的減圧
- ⚠「頭痛だけ」で軽視する — 乳頭浮腫・視野を必ず評価する
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出典: Friedman DI et al. Revised diagnostic criteria for the pseudotumor cerebri syndrome. Neurology 2013;81:1159-1165. / 頭痛の診療ガイドライン 2021(日本頭痛学会). / ICHD-3 7.1.1 特発性頭蓋内圧亢進症による頭痛. / Wall M et al. IIHTT. JAMA 2014;311:1641-1651.