神経筋接合部障害
重症筋無力症✓ 監修済み
発症様式: 慢性(数週〜数ヶ月で進行)。20〜30代女性と50〜60代男性に二峰性のピーク。感染・手術・薬剤(アミノグリコシド、βブロッカー等)で増悪する。
概要
神経筋接合部のアセチルコリン受容体(AChR)に対する自己抗体による自己免疫疾患。骨格筋の易疲労性と筋力低下を特徴とし、眼筋型と全身型に大別される。胸腺腫の合併を高率に認め、クリーゼは致死的となりうる。
代表症候
反復使用・夕方に増悪する筋力低下(易疲労性)眼瞼下垂・複視が初発症状として最多休息により筋力が回復する抗AChR抗体陽性(約85%)、抗MuSK抗体陽性(一部)胸腺腫の合併(約15%)
Clinical Pearls
- 💡「易疲労性=使うと弱くなり、休むと戻る」がMGの本質。これが見られなければ他を考える
- 💡アイスパック試験はベッドサイドで非侵襲的に施行可能。眼瞼下垂の鑑別の第一歩として有用
- 💡コリンエステラーゼ阻害薬は対症療法。根本治療は免疫療法と胸腺摘出術
症候学
眼瞼下垂
片側性から両側性へ。日内変動があり、朝は軽く夕方に悪化する。
臨床的意義: 外眼筋の易疲労性を反映。上方注視持続(Simpson test)で増悪する。
複視
外眼筋の易疲労性による。休息で改善する。
臨床的意義: 特定の脳神経麻痺パターンに一致しないのがMGの特徴。
球症状
構音障害(話し続けると不明瞭に)、嚥下障害、咀嚼障害。
臨床的意義: 咽頭・喉頭筋の易疲労性。嚥下障害は誤嚥性肺炎のリスク。
四肢筋力低下
近位筋優位。腕を挙げ続けられない、階段を上れないなど。
臨床的意義: 日内変動と易疲労性が特徴。腱反射は正常で、感覚障害を伴わない。
呼吸筋障害
進行例やクリーゼで呼吸不全に至る。
臨床的意義: MGクリーゼは致死的緊急。FVCモニタリングが必須。
ピットフォール
- ⚠眼瞼下垂がないからといってMGは否定できない — 球症状型や四肢型もある
- ⚠抗AChR抗体陰性のMG(seronegative MG)が約10-15%存在する
- ⚠アミノグリコシド、マグネシウム、βブロッカーなどでMGが増悪する — 投薬歴の確認が重要
- ⚠MGクリーゼは急速に呼吸不全に至る — FVCのモニタリングが必須
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出典: Gilhus NE, et al. Myasthenia gravis. Nat Rev Dis Primers. 2019;5(1):30. / Sanders DB, et al. International consensus guidance for management of myasthenia gravis. Neurology. 2016;87(4):419-425. / 日本神経学会 重症筋無力症/ランバート・イートン筋無力症候群診療ガイドライン2022(追補版 2025).